エレベーターのインバーター制御について
インバーター制御は、現代のエレベーター制御機構において「心臓部」とも言える非常に重要な技術です。
それを一言で申し上げますと、「電気の力でモーターの回転を自由自在に操る技術」のことです。
【インバーター制御の主な役割】
1.乗り心地の劇的な向上
かつてのエレベーター(20年以上前のもの)は、起動時や停止時に「ガクン」という大きな衝撃を感じることがありました。
インバーター制御は、モーターの周波数を細かく調整することで、加速・減速を滑らかにします。これにより、グラスに入った水がこぼれないほどスムーズな動きを実現し、ご利用者さまにストレスを感じさせません。
かつてテレビCMでエレベーターの床に立てた500円玉が倒れないというものがあったのをご覧になったことがある方もいらっしゃることでしょう。
2.着床精度の向上(つまずき防止)
エレベーターの床面と、建物側の廊下の床面に段差が生じると、お年寄りや小さなお子様が転倒する原因になります。
インバーター制御は、停止直前のスピードをミリ単位でコントロールできるため、常に床の高さをピッタリ合わせることができます。バリアフリー化が進む建物の維持管理において、この「正確さ」は大きな安心材料です。
3.大幅な節電効果(省エネ)
インバーター制御は、必要な時だけ必要な分だけ電気を供給します。
旧式の制御方式と比較して消費電力を大幅に削減(機種によっては30%〜50%程度の削減)できるため、共用部の維持費(電気代)を抑えることが可能です。長期的なランニングコストの低減に直結します。
4.機械の長寿命化
急発進・急停止がなくなることで、ワイヤーロープや巻上機、ブレーキといった駆動部品への負担が軽減されます。機械の摩耗が抑えられるため、結果として部品の交換サイクルが長くなり、突発的な故障リスクを下げる効果があります。
【補足】
「ブレーキ二重化」が万が一の事態を防ぐ「最後の砦(ハードウェア)」だとすれば、「インバーター制御」は日々の運転を安全かつ効率的に司る「優秀な指揮者(ソフトウェア)」のような関係です。
最近では、このインバーターをより進化させた「回生電力利用タイプ(エレベーターが動く際のエネルギーを電気に変えて建物内で再利用する仕組み)」なども登場しております。新しいエレベーターには順次搭載されていくことでしょう。
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