エレベーター制御盤更新(リニューアル)の必要性はあるのか?
制御盤交換の必要性は、エレベーター保守点検(メンテナンス)の現場ではかなり重要なテーマです。
【制御盤とは】
制御盤は、以前も掲載しましたが、エレベーターの「頭脳」に当たる部分です。
かごをどの階へ動かすか、ドアをいつ開閉するか、異常を検知したらmaru 止めるか、といった制御をまとめて行っています。だから、制御盤が古くなると、単なる「動きの不調」では済まず、安全装置との連携不良や停止事故の原因になりえます。
神戸市内の事故報告でも、制御盤の経年劣化による不具合からの短絡(ショートカット)がそのままにされていたことが事故原因の一つになったとされています。
【制御盤交換が必要になる場合】
1.電子部品の劣化が進んでいるとき
制御盤は、基板、リレー(電磁接触器)、コンデンサ、電源回路、コネクタなどの電子部品で構成されています。
これらの大半はいわゆる「消耗部品」であり、経過年数で必ず劣化します。しかも電子部品は、ワイヤーやレールのように「見れば傷みがわかる」ものばかりではありません。突然の誤動作、停止、再起動不能という形で出ることがあります。国土交通省の維持管理指針でも、機器の劣化で安全運行に支障のおそれがある場合は、速やかな措置が必要とされています。
2.保守ではカバーできない段階に入ったとき
現場では「修理で延命できるもの」と「更新しないと危ないもの」があります。
日本エレベーター協会の資料では、20年以上経過したエレベーターでは、電子機器の劣化や枯渇など、メンテナンスでは防げない問題が起こると説明されています。つまり、点検をきちんとしていても、制御盤自体が寿命に近いと、保守だけでは安全性と信頼性を維持しきれなくなるのです。
よく「定期点検、法定検査をしているんだから大丈夫だろう」とか「メンテ契約をしているのだから、ちゃんと維持管理してくれよ」というお客さまもいらっしゃいますが、保守会社が行うのは点検、管理をしてお客さま、オーナーさまへ報告することで維持管理・修繕の決裁をするのはお客さまご自身であることを覚えておく必要があります。
3.部品供給が厳しくなったとき
制御盤交換が必要になる大きな理由の一つが、補修部品の枯渇です。
古い制御盤は、メーカーの生産終了後20年をメドとして、基板や専用電子部品が手に入りにくくなります。メーカー自身のウェブサイトなどで公表をされるケースが多いです。
そうなると故障時に「直せない」「応急対応しかできない」という状態になり、停止が長引くリスクが高まります。日本エレベーター協会の資料でも、20年以上経過した設備では電子機器の「劣化や枯渇」が課題とされています。
4.新しい安全装置に対応できないとき
古い制御盤は、今の安全基準や新しい保護装置に対応できないことがあります。
国土交通省の資料では、既設エレベーターに戸開走行保護装置(UCMP)を付ける際、機種によっては同一メーカーであっても制御盤の一式交換や改造が必要になると説明されています。これは、新しい安全装置が古い制御盤と電気的・機能的にかみ合わないためです。 こうなると、制御盤の更新(リニューアル)が必須となります。
【交換したほうがいい状態】
■同じ系統の故障が繰り返し起こる
・基板や電源ユニットの不具合履歴が増えている
・制御盤内の焦げ、発熱、接点不良、配線劣化が見られる。短絡しなくてはならないような状態
・メーカーから部品供給終了・供給制限の案内が出ている
・新しい安全装置や機能更新に対応できない
・故障時の復旧に時間がかかり、利用者への影響が大きい
こういう状態では、「直しながら使う」より「計画的に更新する」ほうが安全で安いことが多いです。特に1台しかない建物では、故障停止が生活や業務に直結します。
「リニューアルの工期7日間~10日も止められない」と工事を躊躇するオーナーさまもいらっしゃいますが、急な故障でリニューアルをするしかないとなった場合、調査から工事完了までの納期が半年以上になることもあります。計画された10日間の停止と、降って湧いたような半年の停止を比べて、どちらがオーナーさま、エレベーター利用者のみなさまにとって影響が少ないかは考えるまでもありませんよね。
【なぜ“動いている今”でも交換を考えるのか】
利用者から見ると、「今ちゃんと動いているのに、なぜ高いお金をかけて交換するのか」と思いやすいです。
でもエレベーター保守会社、保守技術員から見ると、制御盤交換は故障してから行う工事ではなく、事故や長期停止を防ぐ予防工事です。国土交通省の維持管理指針でも、安全な運行に支障が生じるおそれがある場合は、修理や機能更新を含む必要な措置を講じるべきとされています。
修繕工事ではなく、未来へ向けての【投資】として考えるべきです。
【制御盤交換で期待できること】
制御盤を更新すると、単に古い箱を替えるだけではなく、次のような効果が見込めます。
■安全性の向上
新しい安全回路や保護機能に対応しやすくなります。特に古い設備では、現行の安全思想に合わせた制御へ近づける意味が大きいです。
■信頼性の向上
故障頻度が下がり、突発停止のリスクが減ります。古い電子部品の“いつ壊れるかわからない不安定さ”を減らせます。
■保守性の向上
リニューアル後は機器の点検や診断がしやすく、部品調達もしやすくなります。結果として、故障時の復旧時間短縮にもつながります。
■機能面の改善
停止精度、乗り心地、省エネ性、操作性の改善も期待できます。古い設備では、かごの振動ドアの開閉、停止時の段差など使い勝手の悪さそのものが更新理由になることもあります。
【逆に、まだ交換しなくてよいケースもあります】
もちろん、我々としてもすべてのエレベーターについて交換を提案するというわけではありません。
比較的新しく、故障履歴が少なく、部品供給も十分あり、問題がないと判断出来るようならまずは計画保全で様子を見る判断もあります。
ただしその場合でも、「まだ交換不要」ではなく「いつ交換が必要になるかの時期を想定しておく」「リニューアルに必要となるであろう資金を貯めていく」ことが大事です。併せて、今の保守契約(メンテナンス契約)がPOG契約なのか、フルメンテナンス契約なのかも確認しておくことがいいかと思います。
どちらがお客さまに合っているか、ほかの記事でも投稿をしておりますのでそちらもご覧ください。
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阪神間(大阪府~尼崎市、西宮市、伊丹市、宝塚市、芦屋市、神戸市など)を中心として、エレベーターのリニューアル、メンテナンス・外壁塗装、屋上防水などの建物修繕(一般家庭のリフォーム相談も大歓迎)などについてご不明点があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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