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信用を積み立てるかもしれない「マネタイズの位置を後ろにズラす」発想

「マネタイズをあとにズラす」という発想が、長く選ばれるビジネスをつくる

ビジネスを始めたばかりの頃は、「どうやって売上を作るか」「どうやって利益を出すか」を考えるものです。

それ自体は決して間違いではありません。事業は利益がなければ継続できませんし、利益を追求することは企業や個人事業主にとって重要な使命です。ビジネスの面白いところですし、追及すべき最大のテーマであります。

しかし、長く繁栄している企業や個人を見ていると、共通する特徴があります。
それは、「マネタイズの位置をあとにズラす」という考え方を持っていることです。

マネタイズとは、価値をお金に換えることです。

多くの人は、価値を提供した瞬間に、その対価を受け取ろうとします。商品を紹介したらすぐ契約を求める。相談を受けたらすぐ見積もりを出す。情報を教えたらすぐ商品を勧める。
このような流れは、ごく自然なビジネスの形です。

一方で、マネタイズをあとにズラす人は少し違います。

相手に役立つ情報を提供する。
悩みや困りごとの相談に乗る。
人を紹介する。
業界の知識を分かりやすく発信する。
相手のビジネスに耳を傾る。
共創の途を探る。

この段階では、必ずしも利益を求めません。

もちろん事業活動である以上、慈善事業ではありません。しかし、「まず信用を積み重ね、その結果として仕事につながる」という順番を大切にしているのです。

この考え方は、農業や牧畜に似ています。
種をまいたその日に収穫はできません。水を与え、土を育て、時間をかけてようやく実がなります。牧畜も同じで、乳や肉が出来るまでに時間がかかり努力も必要です。

ところがビジネスでは、種をまいた瞬間に実を取ろうとしてしまうことがあります。当然、それでは植物は育ちません。「『刈り取り』という言葉があるではないか」という方もおられるかも知れませんが、それは、「種まき→水やり→刈り取り」というプロセスを経たあとの行動です。

信用も同じです。
一度役立つ情報を提供したからといって、すぐ契約になるとは限りません。二度、三度と価値を届け、「この人は信頼できる」と思われたとき、初めて仕事の相談が舞い込むことがあります。

近年、多くの企業がブログやSNS、YouTubeなどで情報発信を続けているのも、この考え方に基づいています。

無料で専門知識を公開して、本当に利益があるのかと思う人もいるでしょう。
しかし、情報そのものには価値があっても、「誰から教わるか」にはさらに大きな価値があります。

有益な発信を続けることで、「この分野なら、この人に相談したい」という信頼が蓄積されます。そして、いざ本当に困ったとき、有料の仕事として依頼が入るのです。
つまり、無料で提供しているのは商品ではなく、「信頼を積み立てる機会」なのです。
最近は、ネット検索も単なるウェブサイトの検索ではなく、【人検索】にフェーズを移してきたとされるのも、こういったことの表れでしょう。

もちろん、何でも無料にすれば良いわけではありません。
ここで重要なのは、「価値を無料にする」のではなく、「お金をいただくタイミングを後ろへ移動させる」ということです。

たとえば、
初回相談は無料にする。
役立つ資料を公開する。
セミナーを開催する。
現場で役立つノウハウを発信する。

こうした活動によって相手との接点を作り、十分な信頼関係ができた段階で、本格的なサービスを提案するのです。
この順番だからこそ、お客様も納得して依頼できます。

これは紹介営業でも同じです。
紹介が多い人ほど、紹介をお願いして歩いているわけではありません。普段から誠実な仕事を積み重ね、「この人なら安心して紹介できる」と思われているからこそ、自然に紹介が生まれるのです。

つまり、マネタイズをあとにズラすとは、お金を軽視することではありません。

むしろ、お金を得るために最も大切な「信用」を先に積み重ねるという、極めて合理的な考え方なのです。

現代は、商品やサービスだけで差別化することが難しい時代です。同じような品質、同じような価格の商品が数多く存在しています。

だからこそ、最後に選ばれる理由は、「この人から買いたい」「この会社に任せたい」という信頼になります。

信頼は一日では築けません。しかし、一つひとつの情報発信、相談対応、小さな約束を守る姿勢など、日々の積み重ねによって少しずつ育っていきます。

そして、その積み重ねこそが、将来の売上という形で返ってきます。

目先の利益を追いかけることも時には必要です。しかし、長く続く事業を目指すのであれば、「今日売ること」だけではなく、「一年後、三年後に選ばれる存在になること」を考える視点も欠かせません。

マネタイズをあとにズラすという発想は、利益を先送りすることではありません。信用を先に積み立て、その信用の積み重ねを時間をかけて利益へと変えていく経営の考え方です。

遠回りに見えて、実はもっとも確実な近道。そんな視点を持つことが、これからの時代のビジネスにはますます求められていると思います。

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