油圧エレベーターの「インチング運転」とレベル合わせとは
エレベーターメンテナンス業界には「インチング運転」という言葉があります。
この言葉には、エレベーター点検時の低速運転という意味がありますが、油圧エレベーターの保守現場においては前述だけでなく、停止位置(レベル)を微調整するための運転という意味もあります。
例えば、油圧エレベーターでは、経年劣化や油温の変化、油もれなどの影響で、停止後にかごが数ミリから数センチ沈み、建物の床とかごの床に段差が生じることがあります。このような状態を放置すると、高齢者や車いす利用者のつまずきや転倒につながる恐れがあります。
そこで活躍するのが、レベル合わせのためのインチング運転です。
エレベーターは停止位置を検知すると、かごが少し下がった場合に低速でわずかに上昇させたり、必要に応じて微調整を行ったりして、建物の床とかごの床をできるだけ同じ高さに保ちます。このわずかな補正運転を、現場では「インチング」と呼ぶことがあります。
特に油圧エレベーターでは、停止中にわずかな沈み込みが発生することがあるため、このレベル補正機能は安全性と乗り心地を維持するうえで重要な役割を果たしています。
ただし、インチング運転が以前より頻繁に行われるようになったり、補正しても段差が解消されなかったりする場合は、油圧バルブやシリンダーの油もれ、着床センサーの異常、制御装置の劣化などが進行している可能性があります。
インチングは単なる補正機能ではなく、エレベーターを安全に利用するための大切な制御機能です。そして、その動作回数が増えてきたときは、設備が発する「点検してほしい」というサインであることも少なくありません。
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