エレベーター故障の前兆:停止するときにショックが大きい
「最近、止まるときにガクッとする…」
それ、エレベーターからのSOSかもしれません。
「最近、エレベーターが止まるときに少し衝撃がある気がする。」
「前より『ドン』と止まるようになった。」
このような違和感を覚えたことはありませんか。
利用者からすると、「古いエレベーターだから仕方ない」「まだ動いているから問題ない」と思われがちですが、エレベーターメンテナンス技術者は、このような変化を決して軽視しません。
実は、エレベーターの停止ショックは、設備が発する小さなSOSであることが少なくないからです。
エレベーターは本来、静かに止まる設備です。
近年のエレベーターは、インバーター制御によって速度を細かく調整しながら減速します。利用者が「止まった」とほとんど意識しないほど、なめらかに停止するのが正常な状態です。そのため、「ガクッ」「ドン」と感じるような停止ショックが出始めた場合は、何らかの原因が隠れている可能性があります。
【ブレーキの調整や摩耗】
停止時のショックで最も多い原因の一つが、ブレーキです。
エレベーターは停止する直前までモーターで速度を制御し、最後にブレーキが作動して停止します。このブレーキのタイミングや調整が適切でないと、停止時に衝撃が発生します。
また、ブレーキライニングの摩耗や経年劣化が進むと、効き方が一定ではなくなり、「今日は強く感じる」「荷物を積んでいるときだけ衝撃がある」といった症状につながることもあります。
【制御装置の経年劣化】
最近のエレベーターは、インバーター(VVVF制御)によって加速・減速を制御しています。しかし、電子部品も永遠に使えるわけではありません。電解コンデンサの劣化や制御基板の経年変化により、減速制御が以前ほど滑らかにできなくなることがあります。その結果、停止する最後のタイミングで急減速し、「ガクッ」とした違和感につながることがあります。
【ワイヤーロープやガイドシュー】
停止ショックは、必ずしも電気的な問題だけではありません。ワイヤーロープは長年使用すると少しずつ伸び、各ロープの張力バランスが変化します。また、ガイドシューが摩耗すると、かごを支える動きが滑らかではなくなり、停止時の振動が大きくなることがあります。
一つひとつは小さな変化でも、それらが積み重なることで、利用者が「以前より乗り心地が悪い」と感じるようになるのです。
【エレベーターメンテナンス技術者が一番気にするのは「変化」】
実は、停止ショックそのものよりも重要なのは、「以前との違い」です。
・半年前までは滑らかだった。
・最近になって急に止まり方が変わった。
・上昇時だけ衝撃がある。
・荷物を積んでいるときだけ大きく感じる。
こうした変化は、故障が進行し始めているサインであることがあります。だからこそ、技術者は利用者の方や管理会社などからの「最近ちょっと止まり方が変わった気がする」という一言を、とても大切な情報として受け止めます。
【放置しても大丈夫か?】
停止ショックがあるからといって、すぐに重大事故につながるとは限りません。
しかし、ブレーキや制御装置、ワイヤーロープなどに負担がかかり続ければ、部品の摩耗が早まり、結果として修理や部品交換が必要になる時期を早めてしまう可能性があります。
また、高齢者や小さなお子様が利用する建物では、停止時の衝撃による転倒リスクも無視できません。そして、何よりも怖いのは人が乗っているときに故障状態になって、エレベーターかご内に閉じ込めになってしまうことです。
「まだ動いているから大丈夫」ではなく、「以前と何か違う」と感じた段階で点検を依頼することが、結果的に大きな故障や高額な修理費を防ぐことにつながります。
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